まるで16歳のような、60歳のアメリカ留学

動機は不純?

60才で退職し38年間続けた設計という仕事を終えました。10年前は東欧で現地生産の機械を設計するため日本と現地を往復した事があり、不連続ながらもホームステイの経験はありました。長年の会社生活で忘れていたのは自分の時間の使い方。まずはワシントンD.Cに語学留学という名目で、安くスミソニアン博物館巡りをすることにしました。好きな飛行機を見たい。出来れば学校には行かないで…と、動機は極めて不純でした。

語学学校のクラスメイト

入校時のレベルテストで、自分は最下位のはずが下から2番目のクラスに入りました。予想通り色々な国籍の人がいましたが、アラブの留学生の多さが目立ちました。アラブ人も頭の回転が速く冗談でクラスを笑わせる者が多く、人数は25人程度で効率的でした。ある日、覚えたての構文を使い、学校の外に出て道行く人にインタビューせよという課題を与えられました。しどろもどろの質問にも丁寧に教えてくれたり、地下鉄の利用について相談に乗ってくれたりと学校関係者には非常に親切にしていただきました。学生のみならず先生やスタッフも含めて自分が校内で最年長だったようで、色々と気を掛けてくれました。

最後は本音で

学校の最終日にセレモニーがあり、卒業証書を受け取るときになにかスピーチせよということで、やっと喋った文言”Now, I am sixty years old. But, I feel my new possibility like sixteen tears old…”は本音でした。仕事をリタイアし、年金生活者になりましたが、この1カ月の経験は人生をリセットさせてくれました。今までの経験は脇に置き、新しく何かを始められそうな感触を得たのです。